この夜の機材設定が良くないようで星が異様に長径の大きな楕円になってしまった。少し星が流れたちょい楕円程度ならPITを使って補正できるが、大長径楕円ではどうにも駄目で見苦しい画像になってしまい没にするしかない。しかしなぁ～とPixInsightで補正できる方法はないかと調べたら、何とForumに出ていた。!! 下の写真はPixInsightでの楕円星を補正できるツールを使って処理したもので、シｬキｯとした星ではないものの星流れは目立たない程度になった。
撮影日時 : 2021.06.09 AM01:40～ 撮影場所 : 茶臼山面の木駐車場
機材 : Ginji150 + MPCC + QHY178Mｶﾒﾗ + ASI LRGBﾌｨﾙﾀｰ
SynScan On GPD + QHY5-ii + PHD1 (APTﾃｨｻﾞﾘﾝｸﾞ)
撮影条件 : -20℃, L :1bin 10分×7枚、RGB : 2bin 各5分×3枚、総露光時間 115分
画像処理 : PixInsight, Photoshop CC
◆PixInsightでの楕円星補正方法
補正手順は、①星の長径を小さくする処理を、程度に応じて1回か2回行い、②次に星周囲の光芒を落としてシャープにする、と言うもの。なお星をシャープにするにはMorPhotogicalTransformation (MPT)を使うのが一般的だが、MTPでは短径側も補正されるため楕円星補正では使えない。
①楕円星の補正
Deconvolution(画像復元ツール)は、普通は太った星を小さくしたり星雲の細部構造のメリハリを付けるのに使われるが、楕円星の処理にはPSFメニューの「Motion Blur PSF」を使う(Blur=ぼかす)。使う準備としてPSF画像とDeringing防止でのLocal_support画像と星や星雲以外をマスクするマスク画像の3点が要る。因みにHerbert Walterさん(https://www.skypixels.at/)作成のフリーScript集からPSFデータ作成用の「PSFImage」とLocal_support用画像作成の「AdvStarmask」を使えば難なくデータはできる。マスク画像は普通のDeconvolutionで使うものと違って星だけのマスクとする必要がある(作り方は②の星マスクと同じ)。Deconvolutionは本格処理時間は結構かかるので、ベストな条件を見つけるまではPreviewを使った小さな領域で処理繰り返し回数(Iteration)は10程度にすると短時間で済む。
Motion Blur PSFタブを開き、画像を拡
大しておいて、Angleを設定する。以降
はベスト条件となるLenghtとDeringing
のGlobal darkを見つける。Lengthは長
径を補正するが、大き過ぎると星の長
径方向端が黒ずんでくる。Global
darkは小さいほどシャープになるが、
不適だと同様に長径方向端が黒ずんで
くる。黒が出ない範囲でLenghとGlobal
darkを調整する。自分の例ではLengthは20前後、Global darkは0.035前後となった。それ以外の設定値はDefaultのままとした。星マスクの星の大きさが不必要に大きいと黒ずみが出易いので、Lengthが小さくても黒ずみが出る場合はマスク画像をMorPhotogicalTransformationでerosionを1～2回施して星を小さくすると改善する。
Deconvolutionの1回の処理で楕円星が解消しなければ同じ手順で繰り返せば改善する。なお画像内容は変化しているので、改めてPSF,local_supprt,マスク画像は作らないといけない。
②星の光芒(ハロー)を落としてシャープにする
星マスクに星雲や銀河などが入ると処理 
ができないため、Starnetを使った星抜き
画像と元画像との差分で星マスク画像を
作る(PixelMath使用)。この星マスクのコ
ピー画像を階調切り詰めを行うと、元画
像の差分が星光芒の画像となる(右画像)。
この星光芒画像をHTで少し輝度を上げ、
Convolutionの3～4でボカシ加工を行い
マスクとして使う。
下の画像は上記の処理①(Deconvolutionは1回)と②で補正した例で、まあまあ補正されている事が分かる。Beforeは処理前、AfrerはDeconvolution後、その後星光芒補正を行ったもの。暗い星は余り補正されず残るため、背景を暗くして目立たないようにするか、暗い星の光芒も処理できるマスクを作る必要がある。
