C#7の星空周遊

愛知県の山とベランダで星空撮影

いて座 Sh2-37 バンビの首飾り

梅雨に入ってから晴れた貴重な夜、前日に25cm反射望遠鏡の主鏡と斜鏡を洗浄し光軸調整も済んでいたので、光軸チェックを兼ねて何か撮ってみようと思い立った。4月にベランダからでも猫の手星雲が撮れたので、この夜はバンビの首飾りSh2-37を狙ってみることにした。明るい星で星像を確認し光軸はバッチシだ。よしよしヾ(・ω・`)
光害と月明り下ではQBPフィルターを良く使うが星色はまともにならないので、この夜は月がだいぶ西寄りに移動した事もあって、LPS-P2(光害カットフィルター)を使ってみた。L画像での10分露光は流石に飽和寸前となるが、5分では何とか行けそうなレベルと分かって一通り撮影は済ませた。下の画像は画像処理したもので、余り綺麗な出来栄えとは言えないが、狭写野なのでSh2-37周囲の分子雲の模様が結構写っていて面白い。こうなるとまた狭写野星雲撮影をやってみようと言う気になる。
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撮影日時 : 21.05.23 AM01:00~ @ベランダ
機材 : TS 25cm反射+LPS-P2+TMaxコマコレ+QHY9カメラ、EQ6Pro赤道儀+ASI174カメラ+PHD1(オフアキガイド)
撮影条件 : -20℃, L : 1bin 5分×6枚、RGB : 2bin 各5分×4枚、総露光時間90分
画像処理 : PixInsight, Photoshop CC

◆今回の画像処理ではPixInsightでのIntegrationパラメータ設定で新たな事が分かったので、以下はその記録と言う事でまとめてみた。
・問題の発端
画像処理でRGB各画像をインテグレーション 
(=コンポジット)した所、星周囲に黒点ノイズ
ができてRGB合成すると星周囲はおかしな色
が出てしまった。(右図)
今までも時々あったものの数が少なかったた
め、ゴシゴシとぼかして誤魔化して済んだが、
今回はそういう訳には行かないほど多くの星
で出た。



この黒点は個々の撮像画像中には現れず、インテグレーションでの高輝度側ノイズ処理プロセスで起こり、RGB合成ではその寄せ集めで目立ってくると分かった。下の画像の左側はインテグレーション前の未処理画像、右はインテグレーション後の画像で黒点が出ているのが分かる。
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・対処方法               
2つあり、インテグレーションを行うWBPス
クリプト中のパラメータ変更(high側ノイズ
閾値を大きく)すると黒点発生は抑制される。
但し背反としては、それまで星周囲のノイ
ズと見做していたピクセルデータを除去し
なくなるため、星太りが起き易くなる。


別の方法は、インテグレーション後の画像
やRGBカラー合成後の画像でも構わないが、
MLT(Multiscale Lenear Transform)処理での
Layer2と3をOff(無効化)することで、これら
のノイズは消える。(右図)
Layer3の方が効果は大きいが完璧ではない
ため、Layer2もOFFにするとより効果的。
星太りは起き易いので、星の光芒をマスク
として使って光芒の明るさを下げるとスリ
ムな星に加工はできる。

・なぜ黒点が多く出るようになったか
1倍ビニング画像では起こらず2倍ビニング画像で起きているので、単純には画像全体のピクセル値(明るさ)自体が大きいと言える。更にベランダで撮るため背景全体が明るい分諧調値は高めになっていく。遠征撮影画像では諧調がメディアン値で0.02(正規化数値)程度なのに対して、ベランダ撮影(LPS-P2使用)では何と0.25と遠征の10倍以上の明るさだ。この点を踏まえてカメラの撮影条件を見直さないといけない。