C#7の星空周遊

愛知県の山とベランダで星空撮影

おとめ座の特異銀河NGC4438

国学者の編纂した特異銀河カタログがある。時々銀河名の横にArp○○と書いてあるのを見たことはあったが、何のことか最近まで知らなかった。カタログの目的はヘンテコ銀河形成の物理過程を調べようと形態特徴で分類して1966年に発表されたもので、アンテナ銀河や子持ち銀河(M51)などお馴染みの銀河も入っている。今でこそ観測技術やコンピュータシミュレーションの進歩で銀河衝突や近接銀河の相互作用、スターストリームなど特異銀河の物理過程は解明されているが、当時はハッブルの銀河分類と同様に形態分類に取り組んだものだ。カタログの特異銀河は写真付きなので眺めるのも楽しい。
NGC4438はそのうちのひとつでArp番号は120となっている。マルカリアンチェーンのメンバーでチェーンの中央辺りにあり、形の崩れた銀河なので分かり易い。近くにあるNGC4435との重力相互作用で銀河腕が崩れているように見える。崩れた銀河腕は青っぽいが過去のスターバースト(星が一気に生まれること)で若い星が多いためらしいが、更にいろいろこの銀河の特徴を調べた所、この写真では分からない特異性が書かれていた。水素欠乏で若い星の多い渦巻銀河腕に多くみられるビンク色(Hii領域)が無い。その原因はこの写真には写っていないが右上方向にあるM86銀河の方向にガスが移動していて、3つの銀河の相互作用となっていた。
Hαフィルターでウン十時間露光すれば写るんだろうか。(*'ω'*)

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撮影日時 : 2019.04.27 PM20:40~ 撮影場所 : 茶臼山面の木
機材       : Ginji150(F4,600mm) + MPCCコマコレクター + QHY178M +Badaaフィルター
      EQ6Pro + QHY5-ii + PHD1
撮影条件 : カメラ冷却温度-20℃
               L : 1B 10分×14枚, RGB : 2B 各5分×3枚 総露光時間185分
画像処理 : ステライメージ8, Photoshop CC